グラッドストン―-政治における使命感

神川信彦(1924-2004 元都立大名誉教授) 著
解題:君塚直隆
ISBN:978-4-905497-02-8、 四六判上製、512頁、本体価格4,000円、2011年刊

1967年毎日出版文化賞受賞作が今ここに蘇る!
四度にわたって首相を務めたウィリアム・グラッドストン(1809-1898)を、格調高い筆致で描き出した名著。当時のイギリス社会の様子も生き生きと伝わる。
「ひとが自己の生を、既存のイデオロギーの担い手と思ったり、習俗のしがらみに黙従するような社会では伝記は栄えない」。
――これは、著者である神川氏が、1975年の改訂版の際に寄せた一文である。
 それから40年近く過ぎた現在が、伝記が栄える社会であってほしいとの願いを込めて世に送り出す。

「今日の日本に必要なのは、日本と世界の歴史の中に自らと国家とを見いだす指導者ではないだろうか。…一九世紀のイギリス史を駆け抜けたグラッドストンという一人の偉大なる政治家に関して、これまた優れた政治学者によって書かれたこの評伝を深く読んでいくことは、今日の日本の政治家、さらには日本人全体にとっても大切なことなのではないかと強く思う…」(解題より)
 


【著者】神川信彦(かみかわ・のぶひこ)
 1924年東京生まれ。1947年東京大学法学部卒。1951年東京都立大学講師、52年同助教授、61年同教授。法学部長などを歴任。88年定年退職。専攻は政治史。2004年死去。共著に『近代国家の政治指導』(東京大学出版会)、共訳に『軍隊と革命の技術』(岩波書店)、編著に『講座・日本の将来 第二巻』(潮出版)など。

 
【解題執筆者】君塚直隆(きみづか・なおたか)
関東学院大学文学部教授。1967年東京生まれ。90年立教大学文学部史学科卒。93年から94年にかけてオックスフォード大学セント・アントニーズ・コレッジ留学、97年上智大学大学院文学研究科史学専攻修了。博士(史学)。神奈川県立外語短期大学教授を経て、2011年より現職。
『イギリスニ大政党制への道』(有斐閣)、『パクス・ブリタニカのイギリス外交』(有斐閣)、『女王陛下の影法師』(筑摩書房)、『ヴィクトリア女王』(中公新書)、『近代ヨーロッパ国際政治史』(有斐閣)、『ジョージ五世』(日経プレミアシリーズ)など著訳書多数。


 【書評・紹介】
●『公明新聞』(2011年11月28日)