現代ドイツ政党政治の変容――社会民主党、緑の党、左翼党の挑戦

小野一 著
ISBN:978-4-905497-03-5、 四六判並製、216頁、本体価格1,900円、2012年刊


現代政治において、アイデンティティを問われる事態に直面している“左翼”。
政党政治再編渦中のドイツで、「連帯的近代のための機構」という左派の超党派シンクタンクが誕生した。果たして、左翼の再構築は可能なのか、グローバル経済へのオルタナティヴは可能か、を展望。
また、日本のメディアでも取り上げられることの多いドイツ緑の党については、どのような歴史的経緯を経て現在の姿に至ったかも、分りやすく説明。3.11以後の動きも紹介。
 


【著者】小野 一(おの・はじめ)
工学院大学准教授。1965年生まれ。一橋大学社会学研究科博士後期課程単位修得退学。法学修士。専門は現代ドイツ政治学。著書に『ドイツにおける「赤と緑」の実験』(御茶の水書房)、『政治変容のパースペクティブ〔第二版〕』(共著、ミネルヴァ書房)、『政治を問い直す① 国民国家の境界』(共著、日本経済評論社)など。


 【目次】
はじめに 本書の問題関心と構成

第1章 2005年連邦議会選挙後の政治的再編成
1 五党制の定着と政党連立問題
2 州における経験

第2章 各党の党内状況とプログラム的展開
1 社会民主党(SPD)
2 90年同盟/緑の党
3 左翼党

第3章 超党派的左翼再編成
1 「連体的近代のための機構」の誕生
2 新旧左翼の統一は可能か
3 政治的関与の新しいかたち?

第4章 :経済グローバル化時代への政策提言
1 世界金融危機からユーロ危機へ
2 オルターナティブの可能性と限界
    ~~背景的説明と批判的検討

第5章 新エネルギー・コンセプトの政治的位置
1 環境政治の今日的展開
2 「エコノミーとエコロジー」の根本問題
3 脱原発と再生可能エネルギーの理論的射程

第6章 根源的民主主義と社会的連帯を求めて
    ~~ベーシック・インカム再論
1 ベーシック・インカムとは何か ~~定義およびその多義性
2 ワーク・シェアリングと最低限所得保障
3 社会的排除への処方箋?
4 リバタリアン的価値と左翼のジレンマ

終 章  ポスト赤緑連立時代の新たな政治的同盟


参考文献
欧文略称一覧

あとがき