戦後史のなかの象徴天皇制
河西秀哉 編著
ISBN:978-4-905497-16-5、A5判並製、272頁、本体価格2,700円、2013年刊
戦後半世紀以上、私たちは象徴天皇制とどうかかわってきたのか。新進気鋭の研究者が多角的に論じる。
《執筆者・著者》
河西秀哉(かわにし・ ひでや)
神戸女学院大学文学部総合文化学科専任講師。名古屋大学大学院文学研究科博士課程後期修了、博士(歴史学)。
主著:『「象徴天皇」の戦後史』(講談社選書メチエ、2010年)、「歴史を表象する空間としての京都御所・御苑」(高木博志編『近代日本の歴史都市』思文閣出版、2013年)
後藤致人(ごとう・ むねと)
愛知学院大学文学部歴史学科准教授。東北大学大学院国際文化研究科博士課程後期単位取得満期退学、博士(国際文化)。
主著:『昭和天皇と近現代日本』(吉川弘文館、2003年)、『内奏――天皇と政治の近現代』(中公新書、2010年)
瀬畑 源(せばた・ はじめ)
都留文科大学非常勤講師。一橋大学大学院社会学研究科修了、博士(社会学)。
主著:『公文書をつかう―公文書管理制度と歴史研究』(青弓社、2011年)、「「宮中・府中の別」の解体過程―宮内省から宮内府、宮内庁へ」(『一橋社会科学』第5巻、2013年)
冨永 望(とみなが・のぞむ)
京都大学大学文書館事務補佐員。京都大学大学院文学研究科現代文化学専攻博士後期課程単位取得満期退学、博士(文学)。
主著:『象徴天皇制の形成と定着』(思文閣出版、2010年)
舟橋正真(ふなばし・せいしん)
日本大学大学院文学研究科博士後期課程在学。
主著:「昭和天皇訪米決定の政治過程――1970年から1975年まで」(『歴史学研究』第908号、2013年8月)
楠谷 遼(くすたに・りょう)
報道記者。一橋大学大学院社会学研究科修了。
主著:「マスメディアにおける天皇・皇族写真」(修士論文)
森 暢平(もり・ようへい)
成城大学文芸学部准教授。京都大学文学部卒業、国際大学大学院国際関係研究科修了、元毎日新聞社皇室担当記者。
主著:『天皇家の財布』(新潮新書、2003年)、「新資料にみる昭和天皇・ニクソン会談」(『成城文藝』18輯、2006年)。
《目次》
はしがき
総 論 象徴天皇制・天皇像研究のあゆみと課題 【河西秀哉】
はじめに
一 同時代の研究から
二 一九七〇年代からの変化
三 一九九〇年代以降の状況
四 今後の課題と本書の構成
第1章 昭和天皇の象徴天皇制認識 【後藤致人】
はじめに
一 戦前における昭和天皇の立憲君主認識
二 昭和天皇の論理と象徴天皇制
おわりに
第2章 象徴天皇制における行幸 【瀬畑源】
――昭和天皇「戦後巡幸」論――
はじめに
一 戦後巡幸概説
二 昭和天皇戦後巡幸
おわりに
第3章 イギリスから見た戦後天皇制 【冨永望】
はじめに
一 イギリスから見た明治憲法体制
二 イギリスから見た日本占領
三 イギリスから見た日本国憲法
四 イギリスから見た皇室
おわりに
第4章 佐藤栄作内閣期の昭和天皇「皇室外交」 【舟橋正真】
――一九七一年訪欧の政策決定過程を中心に――
はじめに
一 一九六〇年代における昭和天皇外遊の模索
二 佐藤栄作首相の昭和天皇訪欧計画―首相官邸と宮中の力学をめぐって―
三 水面下の昭和天皇訪欧計画―関係各国との調整を軸に―
四 昭和天皇訪欧における政治力学の実相
おわりに
第5章 戦後皇族論 【河西秀哉】
―――象徴天皇の補完者としての弟君――
はじめに
一 苦悩する「人間」としての秩父宮
二 スポークスマンとしての高松宮
三 自由で学究的な態度を取る三笠宮
おわりに
第6章 マスメディアにおける天皇・皇族写真 【楠谷遼】
――取材許可をめぐる宮内庁・マスメディア間の力学に焦点をあてて――
はじめに
一 戦前における天皇・皇族の取材対応
二 戦後巡幸での〝自由な取材〟
三 「皇太子御成婚」とミッチー・ブーム
おわりに
第7章 ミッチー・ブーム、その後 【森暢平】
はじめに
一 理想の結節点としての皇太子夫妻
二 「お疲れ」と「お痩せ」
三 流産、長期静養とメディア
四 皇太子像の模索
おわりに
コラム1(行政機関としての宮内庁)
コラム2(人事から見た宮内庁史)
コラム3(皇室典範改正問題)
コラム4(日記から見る政治家と昭和天皇)
コラム5(公刊された側近たちの日記)
コラム6(皇室とメディア)
付録
宮内庁機構図
宮内庁歴代幹部リスト
象徴天皇制関連年表
天皇家系図
あとがき
《書評・紹介》
●『エコノミスト』(2013年12月24日)
●『図書新聞』(2014年3月1日号)、評者:茶谷誠一氏
「戦後日本社会における象徴天皇制の成立期から展開期までを追った貴重な研究書」