太陽王時代のメモワール作者たち――政治・文学・歴史記述
嶋中博章 著
ISBN:978-4-905497-20-2、四六判上製、338頁、本体価格3,700円、2014年刊
ルイ14世時代の政治と文化の交錯を、回想録を読み解きながら考察。
歴史と文学の新たな関係の構築を目指す意欲作!
【著者】嶋中博章(しまなか・ひろあき)
1976年北海道苫小牧市生まれ。1999年奈良大学文学部卒業。2004‐2005年パリ第3大学留学。DEA(Littérature et civilisation françaises)。
2009年関西大学大学院文学研究科博士課程後期課程修了。博士(文学)。現在、関西大学・京都産業大学他非常勤講師。
主要業績:『西洋の歴史を読み解く』(共著、晃洋書房、2013年)、イヴ=マリー・ベルセ『真実のルイ14世』(共訳、昭和堂、2008年)、クリスチアン・ジュオー『歴史とエクリチュール』(共訳、水声社、2011年)、クリスチアン・ジュオー『マザリナード』(共訳、水声社、2012年)、コレット・ボーヌ『幻想のジャンヌ・ダルク』(共訳、昭和堂、2014年)など。
【目 次】
はじめに
第一章 十七世紀フランスのメモワール
第二章 悪態と忠誠―コリニー伯の『メモワール』
第三章 血統の重み―オメール・タロンの『メモワール』
第四章 陰謀と英雄―レ枢機卿の『メモワール』
第五章 文学の仮面―ラ・ゲット夫人の『メモワール』
第六章 礼儀と寵愛―ナヴァイユ公の『メモワール』
第七章 家名の偉力―レギュス侯の『メモワール』
第八章 神話の浸透力―ブリエンヌ伯の『メモワール』
あとがき
註
主要参考文献
フロンド関連年表
主なメモワール作者たち
図版出典一覧
索引
【書評・紹介】
≪日本図書館協会選定図書≫第2900回 平成26年3月26日選定
●『北海道新聞』(2014年5月4日)
“太陽王と呼ばれたルイ14世が君臨したフランス17世紀は、この回想録がとりわけたくさん書かれた時代である。(中略)自己を語る者は、多かれ少なかれ自らを正当化しようとする。その意味で回想録は、たんに過去の思い出を想起するにとどまらない。それは同時代の、あるいは未来の読者に向けて証言し、働きかけようとする行為でもある。
その時、文学的な技法が活用されることを、本書は鮮やかに示してくれる。(中略)著者は、文学研究と歴史学を架橋しようと試みる。”(小倉孝誠氏・慶応大学教授)
●『週刊文春』(2014年4月10日号)「私の読書日記」
“新しい歴史学は思いもかけなかったものをコーパス(資料体)に組み入れつつあるが、最後の手付かずの聖域が意外や「文学」であった。文学の価値である「自己表出」はよほど斬新な視座と鋭敏な感受性がなければコーパスには取りこめないとされてきたからだ。嶋中博章『太陽王時代のメモワール作者たち 政治・文学・歴史記述』(中略)はこの「取り扱い注意」のテーマに果敢に挑戦した意欲作。” (鹿島茂氏・フランス文学者)
●『西洋史学会』第257号(2015年6月30日)
“……本書は、メモワールを題材として、歴史学と文学研究の双方の手法を取り入れた、17世紀の政治をとりまっく心性研究であり、その目的、方法、成果のすべてにおいて画期的な快著であると評価できる。”(山上浩嗣氏・大阪大学教授)