フランスの肖像――歴史・政治・思想
(原題:Parlez-moi de la France:Histoire, Idées, Passions)
ミシェル・ヴィノック 著 大嶋厚 訳
ISBN:978-4-905497-21-9、四六判上製、425頁、本体価格3,200円、2014年刊
フランスを歴史から読み解く1冊!
絶対王政、革命、共和国、自由と平等、ライシテ、カトリック、中央集権、ドレフュス事件、ヴィシー政権、レジスタンス、アルジェリア戦争、移民、欧州建設……。
ナポレオン、ド・ゴール、ジャンヌ・ダルク、ヴォルテール、ヴィクトル・ユゴー……。
【著者】ミシェル・ヴィノック(Michel Winock)
1937年パリ生まれ。歴史家。近・現代フランス政治史、政治思想史を専門とする、フランスにおけるナショナリズム、反ユダヤ主義、知識人の政治参加の代表的研究者の一人。ソルボンヌ大学卒、高等教員資格(アグレガシオン)取得。高校教員、パリ・ヴァンセンヌ大学助教授を経てパリ政治学院教授を務め、現在は名誉教授。「エスプリ」誌編集委員会委員を務め、スイユ社で歴史書出版に携わった他、「リストワール」誌創刊に参加した。
著書に『ナショナリズム・反ユダヤ主義・ファシズム』(Nationalisme, antisémitisme, fascisme en France川上勉・中谷猛監訳、1995年、藤原書店、原書は1990, Seuil)、『知識人の時代――バレス/ジッド/サルトル』(Le siècle des intellectuels 塚原史・立花英裕・築山和也・久保昭博訳、2007年、紀伊國屋書店、原書は1997, Seuil)、『フランスとユダヤ人――1789年から現代まで』(La France et les Juifs, de 1789 à nos jours, Seuil, 2004)、『スタール夫人』(Madame de Staël, Fayard, 2010ゴンクール伝記賞およびアカデミー・フランセーズ・ゴベール歴史大賞受賞)、『フローベール』(Flaubert, Gallimard, 2013)など。
【訳者】大嶋 厚(おおしま・あつし)
1955年東京生まれ。上智大学大学院博士前期課程修了。国際交流基金に勤務し、在ベルギー日本大使館文化担当官などを務めた後、パリ日本文化会館設立に携わる。その後、国際交流基金海外事務所課長、パリ日本文化会館副館長などを務めた。
【目次】
はしがき
第1章 フランス国民はフランスの存続を望んでいるか
第2章 フランスは地理ではない
第3章 フランスは思想である
第4章 「教会の長女」は堕落したのか
第5章 玉座と祭壇――古くからの同盟関係
第6章 中央集権と行政組織――フランスの二つの乳房
第7章 革命の名声、大革命の失敗
第8章 大革命からライックな共和国へ
第9章 平等を求める意思
第10章 共産主義――フランス的熱狂
第11章 六〇〇〇万人の自宅所有者
第12章 いつまでも町人貴族
第13章 王政へのノスタルジー
第14章 フランス人はいまでもボナパルティストか
第15章 ポピュリズムという悪習
第16章 フランスの反ユダヤ主義
第17章 立派な制服とお粗末な作戦
第18章 ド・ゴール、最後のトーテム像
第19章 自分を見失った左派
第20章 試練に直面する右派
第21章 いずこにもない中道
第22章 重くのしかかる記憶
第23章 パリの誇り、地方の逆襲
第24章 知識人は役に立つか
第25章 伝道への熱意
第26章 アテネのコンプレックス
第27章 移民の地フランス
第28章 敵はどこへ行ったか
第29章 フランスの風土病
第30章 忘れられた博愛
結 論
ブログ
イスラムと共和国/昨日、今日、明日/フランス人の宗教/他者の視線/意気消沈したフランス人/
私人と公人/ジャコブ通り二七番地/高校の歴史教育
訳者解説
フランス史略年表
事項索引
人名索引
【書評・紹介】
≪日本図書館協会選定図書≫第2902回 平成26年4月9日選定
●『毎日新聞』(2014年4月13日)読書面
「『なぜ、どうして?』が解きほぐされる快感。」
「・・・後半、扱われる様々な現代フランスの問題は、意外なほど日本が抱える問題と似通っている。けれど、根っこが異なれば、解決法もまた違うだろう。今度留学生に質問を受けたときは、こういう風に日本が説明できるようになってみたい。」(岩間陽子氏・国際政治学者)
●『日仏政治研究』第10号(2016年3月)