消費が社会を滅ぼす?!――幼稚化する人びとと市民の運命

ベンジャミン・R・バーバー 著 竹井隆人 訳
ISBN:978-4-905497-24-0、四六判上製、589頁、本体価格3,900円、2015年刊

幼稚化する消費者に未来はあるのか。「グローバル経済」の問題点を冷静に分析。


【著者】ベンジャミンR.バーバー (Benjamin R. Barber)
米国政治学者。専門は政治理論、デモクラシー理論。現在、ニューヨーク市立大学大学院センター、哲学及び市民社会研究センター上級研究員。市民ネットワーク「インターディペンデンス・ムーヴメント」の設立者かつ理事長。1939年生まれ。ハーヴァード大学にて政治学博士。ラトガース大学教授、メリーランド大学教授等を歴任後、ラトガース大学名誉教授。
グローバルなデモクラシーと市民社会の確立を目指す観点から政治、文化、教育に関心を寄せ、アメリカのみならず世界各国の政治指導者、市民運動に助言を送る一方、専門誌や一般誌に精力的に寄稿し、政治関連のTV番組制作にも携わるほか、小説や脚本も手掛ける。数多ある著書のうち邦訳されたものに、『ストロング・デモクラシー――新時代のための参加政治』、『〈私たち〉の場所――消費社会から市民社会をとりもどす、『予防戦争という論理――アメリカはなぜテロとの戦いで苦戦するのか、『ジハード対マックワールド――市民社会の夢は終わったのか』。最新著に『If Mayors Ruled the World: Dysfunctional Nations, Rising Cities (Yale University Press, 2013)』。

【訳者】竹井隆人(たけい・たかひと)
政治学者。博士(学術)。(株)都市ガバナンス研究所代表。立命館大学政策科学部非常勤講師。
1968年京都市生まれ。東京大学大学院法学政治学研究科修士課程修了(政治専攻)。
長らく政府系金融機関にて〈まちづくり〉に関わり、現職の〈まちづくり〉シンクタンクでは、京都を中心に開発事業や町家再生の企画、行政の政策協力等で活動中。著書に『デモクラシーを〈まちづくり〉から始めよう』(平凡社)、『社会をつくる自由』(ちくま新書)、『集合住宅と日本人』(平凡社)、『集合住宅デモクラシー』(世界思想社)。共著に『排除と包摂の政治学』(木鐸社)、『都市と土地利用』(日本評論社)他。訳書にベンジャミン・R・バーバー『ストロング・デモクラシー』(日本経済評論社)、エヴァン・マッケンジー『プライベートピア』(共訳、世界思想社)、エドワード・ブレークリー&メーリー・スナイダー『ゲーテッド・コミュニティ』(集文社)他。


【目次】
第Ⅰ部 消費者(コンシューマー)の誕生
第1章 資本主義の勝利と幼稚エートス
第2章 プロテスタンティズムから幼児症へ

第Ⅱ部 市民の消滅
第3章 幼稚化する消費者たち――キッザルト(子供っぽい大人)の登場
第4章 私民化する市民たち――市民的精神分裂症の生成
第5章 ブランド化されたアイデンティティ――意味の喪失
第6章 全体主義化する社会――多様性の終焉

第Ⅲ部 市民の運命
第7章 消費主義に対する抵抗――資本主義は自力で治癒できるのか?
第8章 市民的精神分裂症の克服――相互依存的世界における市民権の回復

訳者解説(竹井隆人)


【書評・紹介】
●訳者竹井隆人氏が「ピケティよりもバーバー」と題して『不動産経済 FAX-LINE』No.1013に寄稿しております。
●『日本経済新聞』(2015年5月24日)、評者:吉田徹氏・北海道大学准教授