おのがデモンに聞け――小野塚・吉野・南原・丸山・京極の政治学

都築勉 著
ISBN:978-4-905497-91-2、 四六判並製、400頁、本体価格2,700円、2020年刊

 

「政治学に先生はない……おのがデモンに聞け」(南原繁)
20世紀と対峙した5人の政治学者(小野塚喜平次、吉野作造、南原繁、丸山眞男、京極純一)の学問的業績をつぶさに検討する。


【著者】都築 勉(つづき・つとむ)
1952年、東京生まれ。1985年、東京大学大学院法学政治学研究科博士課程単位取得退学、信州大学教養部専任講師。1988年、同助教授。1995年、同経済学部助教授。1997年、同教授。2018年、同名誉教授。
著書に『戦後日本の知識人――丸山眞男とその時代』(世織書房、1995年)、『丸山眞男への道案内』(吉田書店、2013年)、『丸山眞男、その人』(世織書房、2017年)など。


【目 次】
序章 一九世紀から二〇世紀への転換
 1 大学アカデミズムの誕生
唯一の大学 / 帝国大学令 / 帝国大学のドイツ化 / 人材確保の困難 / 『法学の誕生』 / 大学アカデミズムの成立――国語学の場合 / 比較対照軸としての夏目漱石 / 「新聞屋」漱石の出発 / 大学アカデミズムの成立――京都学派の哲学 / 大学アカデミズムの成立――経済学の場合 / 明治日本と帝国日本

2 東京帝国大学の政治学
前史 / 小野塚喜平次 / 小野塚以後の政治学

第1章 小野塚喜平次または研究者精神の形成
先行研究 / 「政治学ノ系統」 / 「政治教育ト政治学」 / 小野塚が見たヨーロッパ / 「七博士事件」と「戸水事件」 / 『政治学大綱』 / 矢部貞治の『政治学』 / 堀豊彦の『政治学原論』 / 蠟山政道 / 丸山眞男、岡義達、佐々木毅 / 小野塚のヨーロッパ各国史研究――時代的背景 / 英仏独の比較研究 / ブライスの『近世衆民政』書評 / 昭和初年の総長時代

第2章 吉野作造または行為者精神の形成
本書のアプローチ / 『支那革命小史』 / 留学生の支援 / 吉野の言論活動 / 吉野の政治原論 / 吉野の民本主義論 / 歴代内閣論(一)――大隈・寺内・原 / 浪人会との対決 / 歴代内閣論(二)――高橋内閣から加藤高明内閣まで/朝日新聞退社の経緯 / 無産政党論 / 歴代内閣論(三)――「憲政の常道」期 / 明治文化研究 / 吉野作造の戦い

第3章 南原繁または教育者精神の形成
政治思想史と政治哲学 / 政治的価値の固有性――「価値並行」論 / 自由主義批判 / 「理想国家」と「神の国」 / 『フィヒテの政治哲学』 / 『政治理論史』 / 『政治哲学序説』 / 南原の日本国憲法論 / 全面講和論 / 人間南原 / 教育者南原

第4章 丸山眞男または創設者精神の形成
南原と丸山 / 徂徠学の位置づけ / 『矢部貞治日記』 / 丸山の召集 / 国民主義の思想 / 「超国家主義の論理と心理」 / 日本ファシズム論 / 学問論 / 平和論 / 一九五〇年代後半の転換

第5章 京極純一または観察者精神の形成
丸山と京極 / 神島二郎『近代日本の精神構造』 / 『現代日本の政治過程』 / 植村正久研究 / 理論模型 / 「世相の解説」 / 『日本の政治』

終章 政治学の一〇〇年
東大の政治学 / 二〇世紀の百年 / 日本国憲法の政治学 / 総長職と大学の管理運営 / 二一世紀の政治学


【書評・紹介】
●『朝日新聞』(2021年3月13日)、評者:宇野重規氏・東京大学教授
●『東京人』(2021年4月号)、評者:苅部直氏・東京大学教授
●『公明新聞』(2021年5月17日)、評者:米原謙・大阪大学招聘教授
●『週刊読書人』(2021年5月21日号)、評者:山辺春彦氏・東京女子大学講師