三木武夫秘書回顧録――三角大福中時代を語る
岩野美代治 著 竹内桂 編
ISBN:978-4-905497-56-1、 A5判上製、500頁、本体価格4,000円、2017年刊
‟バルカン政治家”三木武夫を支えた30年余
新たな証言記録による戦後政治の一断面
【著者】岩野美代治(いわの・みよじ)
1934年徳島県生まれ。明治大学法学部卒。
三木武夫の私設秘書、公設第二秘書を経て、1972年に公設第一秘書に就任。1998年参議院議員高橋紀世子政策秘書。
著書に『アメリカ大統領選挙概説』(新日本社、1965年)がある。
【編者・解題執筆者】竹内 桂(たけうち・けい)
1973年石川県生まれ。明治大学大学院政治経済学研究科博士後期課程修了。博士(政治学)。明治大学政治経済学部兼任講師。
おもな業績に、『戦後日本首相の外交思想』(共著、ミネルヴァ書房、2016年)、『三木武夫研究』(共著、日本経済評論社、2011年)、「明治大学時代の三木武夫」(『法政論叢』第53巻第1号、2017年)、「『阿波戦争』に関する一考察――第10回参議院選挙徳島地方区における保守系候補の対立を中心に」(『選挙研究』第32巻第1号、2016年)、「三木武夫と石橋湛山――石橋内閣期を中心に」(『自由思想』第141号、2016年)がある。
【目 次】
第1章 秘書になるまで
幼少期/明治大学時代/三木事務所のスタッフ
第2章 駆け出しの秘書
石橋内閣/平澤和重・福島慎太郎・松本瀧蔵との関係/赤坂事務所/岸内閣/日米安保条約改定/派閥記者との関係/池田内閣の成立/衆議院議員在職二五年/三木與吉郎との勢力争い/自民党組織調査会長への就任/中央政策研究所の設立/ライシャワー事件/アメリカ大統領選挙視察/佐藤栄作総裁の指名
第3章 三木総理誕生を目指して
佐藤首相の訪米/通産大臣就任/武市恭信知事の誕生/アメリカ訪問とロサンゼルス留学時代/外務大臣就任/第八回参議院議員選挙/最初の自民党総裁選出馬/二度目の総裁選出馬/第九回参議院議員選挙/河野謙三参議院議長の誕生/中国訪問/三度目の総裁選出馬/副総理就任/環境庁長官/徳島市長選挙/「阿波戦争」のはじまり/西ドイツ訪問/中東特使/「阿波戦争」/副総理辞任
第4章 椎名裁定と三木内閣の成立
椎名裁定/自民党役員人事/閣僚人事/秘書官と秘書
第5章 三木総理の奮闘
所信表明演説/総理公邸/資産公開/三木派の五億円使途不明金問題/公職選挙法と政治資金規正法の改正/独占禁止法の改正/自民党総裁選規程/東京都知事選/閣僚の問題発言/佐藤栄作の国民葬と右翼暴行事件/三木・フォード会談/靖国神社参拝/昭和天皇の訪米と三木の天皇観/第一回先進国首脳会議への参加/スト権スト/三木内閣期の外交/政務次官人事/ロッキード事件の発覚/三木おろし/挙党体制確立協議会の結成/三木内閣改造/三木内閣退陣
第6章 晩年の三木武夫
福田内閣の成立/平澤和重の死去/参議院通常選挙における亀長友義の当選/武市知事四選/福田内閣改造/河本敏夫の自民党総裁選出馬/トップ陥落――第三五回衆議院議員総選挙/大平内閣期の三木派の状況/椎名悦三郎の死去/四〇日抗争/ハプニング解散/明治大学創立一〇〇周年記念の講演/衆参ダブル選挙/河本敏夫の「クーデター」――三木派の解散、河本派の結成/鈴木内閣の成立/NHKのインタビューカット/武市知事の敗北/鈴木首相の辞任と後継問題/国際軍縮促進議員連盟会長への就任/ロッキード判決と総選挙/二階堂擁立工作/徳島県知事選挙/番町会館の建て替え/三木の衰え/三木武夫、倒れる/最後の衆院選/三木の入院時の状況/衆議院議員在職五〇年/三木武夫・睦子二人展
第7章 三木武夫の没後
三木武夫の死去/三木平和研究所構想/三木武夫の関係資料/死後の顕彰/『三木「政治改革」試案とは何か』『信なくば立たず』/三木武夫国際育英基金/後継問題/高橋紀世子の参議院選挙出馬
第8章 三木武夫の選挙と後援会
三木武夫後援会(三木会)/後援会長/後援会の組織/後援会の活動/参議院議員/県議会議員/市町村長・市議会議員/知事/後援会名簿/固定票と浮動票/徳島県内の各団体との関係/徳島県内の企業との関係/トップ当選の要因/地盤の継承
第9章 秘書の役割(一)政治資金
政治資金集め/中央政策研究所の活用/明治大学のつながり/政治資金の使途/派閥の政治団体/企業との関係
第10章秘書の役割(二)有権者へのサービスと陳情
有権者へのサービス/予算編成/北岸農業用水/鳴門教育大学の開校の経緯/大鳴門橋/三木と陳情/企業誘致
おわりに
解題 竹内桂
【書評・紹介】
●『毎日新聞』(2018年3月25日)
●『週刊朝日』(新春合併号)「注目の本棚」
●『図書新聞』「17年下半期読書アンケート」
「(中略)後援会・政治資金・陳情などについての証言は、日本政治の研究にとっても貴重である。」(評者:竹中佳彦氏・筑波大学教授)
●『外交』(2017年11・12月号)