【増補新装版】ノーベル文学賞――「文芸共和国」をめざして

柏倉康夫 著
ISBN:978-4-905497-47-9、四六判並製、402頁、本体価格2,300円、2016年刊

2016年、ボブ・ディランの受賞でますます注目をあびているノーベル文学賞。
2012年秋の前著刊行以後の受賞者5名、莫言、マンロー、モディアノ、アレクシエーヴィチ、
そしてボブ・ディランについて加筆した増補決定版! 

1901年受賞のプリュドムからボブ・ディランまで113名のノーベル文学賞受賞者。
文学の歴史に名を刻す巨人とその時代を辿る格好の“世界文学ガイド“!


【著者】柏倉康夫(かしわくら・やすお)
放送大学名誉教授。1939年東京生まれ。東京大学文学部フランス文学科卒業。NHK解説主幹、京都大学大学院文学研究科教授、放送大学教授・副学長・付属図書館長などを歴任。フランス共和国国家功労勲章シュヴァリエを叙勲。著書に『マラルメ探し』『生成するマラルメ』『アンリ・カルティエ=ブレッソン伝』『敗れし國の秋のはて 評伝堀口九萬一』『評伝梶井基次郎 視ること、それはもうなにかなのだ』『指導者はこうして育つ―フランスの高等教育~グラン・ゼコール』『石坂洋次郎「若い人」をよむ 妖しの娘・江波恵子』など多数。


【目次】
第1章 最初の十年
アルフレッド・ノーベルと文学/重荷を負ったスウェーデン・アカデミー/最初の十年
第2章 異邦人の登場
ベンガルのシェリー/「ギタンジャリ、神に捧げる歌」/「日本紀行」/平和への関心
第3章 第一次大戦の波紋
授賞中止/ロマン・ロランの反戦主義/遅れた受賞
第4章 二人のアイルランド人
国際競争/W.B.イェイツ/心の故郷/バーナード・ショウ
第5章 文学以外の受賞者
アンリ・ベルクソン/哲学教師/学位論文/講演/ノーベル賞受賞
第6章 ナチス・ドイツの影
トーマス・マン/「ブッデンブローク家の人びと」/結婚/亡命/オシーツキーの場合/戦争の足音
第7章 隆盛の時代
南米初の受賞/大家への授賞/T・S・エリオット/「四つの四重奏」
第8章 アメリカ文学の勝利
青春の文学/ウィリアム・フォークナー/アーネスト・ヘミングウェイ/ジョン・スタインベック
第9章 受賞を拒否した二人
ボリス・パステルナーク/詩人としてのスタート/J.P.サルトルの場合
/「嘔吐」/文学、哲学、社会参加
第10章 「美しい日本の私」
東と西のかけ橋/ストックホルム/末期の眼/死
第11章 パブロ・ネルーダ
早熟な詩人/外交官生活/コミュニズム/晩年
第12章 ラテンアメリカの二人
ラテンアメリカ文学/ガルシア=マルケスの場合/「百年の孤独」/独裁者/事実と小説/メキシコの前衛/詩と評論/東洋の発見
第13章 新たな文学と地平の拡大
多様化する賞/姿を見せなかった詩人/クロード・シモンの場合/時間意識/ル・クレジオ
第14章 ナギーブ・マフフーズ
暗殺未遂/生い立ち/社会的小説
第15章 大江健三郎
授賞式/架空の場/語りの手法/新しい人/「あいまいな日本の私」
第16章 中国、南アフリカ、トルコ
高行健――虚をつかれた授賞/人称の実験/「ある男の聖書」/南アフリカの二人
/J.M.クッツェー/オルハン・パムク/二つの長篇小説
第17章 独裁政権下の文学
驚き/故郷喪失/「狙われたキツネ」/ベルリンの壁崩壊
第18章 散文と詩と 
バルガス=リョサ/素材としての体験/「緑の家」/多様な形式/スウェーデンの国民詩人/Haiku
第19章 莫言
出自/作家デビュー/逆境/「語り部として」
第20章 短篇と長篇と
アリス・マンロー/主婦作家/作風/パトリック・モディアノ/曖昧な過去/処女作/自伝的要素と記憶
第21章 スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチ
ジャーナリスト出身者の受賞/世界を揺るがした原発事故/証言/記憶の掘り起こし/生の証言

増補新版 あとがき
初版 あとがき
丸善ライブラリー版 あとがき

ノーベル文学賞受賞者一覧
人名索引


【書評・紹介】
●『公明新聞』(2017年1月9日)