石油の呪い――国家の発展経路はいかに決定されるか
The Oil Curse:How Petroleum Wealth Shapes the Development of Nations

マイケル・L・ロス 著
松尾昌樹/浜中新吾 訳
ISBN:978-4-905497-49-3、A5判並製、346頁、3,600円、2017年刊

中東地域ではなぜ民主化が進展しないのか
石油は政治、経済、社会にいかなる影響を及ぼすのか――。その深刻さを計測し、処方箋を提示する画期的な一冊。


【著者】マイケル・L・ロス(Michael L. Ross)
カリフォルニア大学ロサンジェルス校(UCLA)政治学部教授。プリンストン大学政治学部卒(博士、1996年)
主要業績:
“Oil and International Cooperation”, International Studies Quarterly Mar 2016, 60(1)85-97. (Erik Voetenとの共著)
“What Have We Learned About the Resource Curse?” Annual Review of Political Science 18(1): 239-259.
“The Big Oil Change: a closer look at the Haber-Menaldo analysis” Comparative Political Studies 47:7 (June 2014) (Jørgen Juel Andersenとの共著)
“The Political Economy of Petroleum Wealth in Low-Income Countries: some policy alternatives,” Middle East Development Journal 5(2), (June 2013)
Timber Booms and Institutional Breakdown in Southeast Asia, New York: Cambridge University Press, 2012(中村文隆、末永啓一郎監訳『レント、レント・シージング、制度崩壊』出版研、2012年)
【訳者】
松尾昌樹(まつお・まさき)
宇都宮大学国際学部准教授。東北大学大学院国際文化研究科博士後期課程修了(博士、2004年)
主要業績:
「中東地域研究とレンティア国家論」(『中東研究のテーマと理論――政治学・経済学・社会学・地域研究(仮)』明石書店、2017年(予定))
『中東の新たな秩序』(共編著、ミネルヴァ書房、2016年)
「増え続ける移民労働者に湾岸アラブ諸国政府はいかに対応すべきか」(細田尚美編『湾岸アラブ諸国における移民労働者――「多外国人国家」の出現と生活実態』明石書店、2014年)
「湾岸諸国における移民労働者――越境が生み出す格差と社会」(酒井啓子編『中東政治学』有斐閣、2013年)
『湾岸産油国 レンティア国家のゆくえ』(講談社、2010年)
 
浜中新吾(はまなか・しんご)
龍谷大学法学部教授。神戸大学大学院国際協力研究科博士後期課程修了(博士、2000年)
主要業績:
『パレスチナの政治文化――民主化途上地域への計量的アプローチ』(大学教育出版、2002年)
「中東諸国における非民主体制の持続要因」(『国際政治』第148号、2007年)
“Demographic change and its social and political implications in the Middle East”, Asian Journal of Comparative Politics, 2016

【目次】
 序文
日本語版への序文
第1 章 諸国民の富の逆説
第2 章 石油収入にまつわる問題
第3 章 石油の増加、民主主義の後退
第4 章 石油は家父長制を永続させる
第5 章 石油が引き起こす暴力
第6 章 石油、経済成長、政治制度
第7 章 石油に関するよい知らせと悪い知らせ
解題



【書評・紹介】
●『日本経済新聞』(2017年4月1日)
「…(中略)本書には様々な統計分析がある。開発経済を学ぶ読者には、様々なモデル分析に接することができる好著といえる。・・・(略)」(評者:須藤繁氏・帝京平成大学教授)
●『週刊ダイヤモンド』(2017年3月11号)
「…(中略)石油が民主的制度の発展や女性の政次参加を遅らせ、紛争の頻発などの〝負の要因″をもたらしていることを、世界170カ国の半世紀に及ぶデータを用いながら、綿密な実証を積み重ねる…(略)…類書にありがちな方法論に拘泥せず、主題から離れずに議論を展開している点は好感が持てる。…(略)」(評者:吉田徹氏・北海道大学教授)