近代天皇制から象徴天皇制へ――「象徴」への道程 

河西秀哉 著
ISBN:978-4-905497-61-5、四六判上製、246頁、本体価格2,200円、2018年刊

「象徴」とは何だろうか。その歴史的意味は何か。気鋭の歴史家が戦前にまで遡って解明する。


【著者】河西秀哉(かわにし・ひでや)
神戸女学院大学文学部准教授
1977年愛知県生まれ。名古屋大学大学院文学研究科博士後期課程修了。博士(歴史学)。
著書に、『天皇制と民主主義の昭和史』(人文書院、2018年。『「象徴天皇」の戦後史』講談社選書メチエ、2010年の増補)、『皇居の近現代史』(吉川弘文館、2015年)、『明仁天皇と戦後日本』(洋泉社歴史新書y、2016年)、『うたごえの戦後史』(人文書院、2016年)など。編著に、『戦後史のなかの象徴天皇制』(吉田書店、2013年)、『日常を拓く知2 恋する』(世界思想社、2014年)、『平成の天皇制とは何か』(共編、岩波書店、2017年)など。


 【目次】 

序 章 近現代天皇制研究の成果と課題――本書の視角

第1章 世界的な君主制の危機と近代天皇制
    ――吉野作造の天皇制構想
 はじめに
 第一節 世界的な君主制の危機をどう見たのか?
 第二節 天皇制と民本主義
 第三節 裕仁皇太子への期待
 おわりに――吉野の構想した天皇制

第2章 「デモクラシー」と「国体」
    ――永田秀次郎の思想と行動
 はじめに
 第一節 永田における「国体」論の萌芽
 第二節 「国体」論の具体化
 第三節 「国体」論の先鋭化
 おわりに

補 論 大正期の天皇制・「国体」とマスメディア・社会
 はじめに
 第一節 「デモクラシー」と君主の「人格」
 第二節 皇太子教育の必要性
 第三節 皇太子外遊とその反応
 第四節 社会政策への取り組み
 おわりに

第3章 戦時体制と天皇制
 はじめに
 第一節 天皇・皇族の「人格」と「仁慈」
 第二節 「国体」論の再編
 第三節 総力戦体制構想のなかの天皇制
 おわりに

第4章 敗戦直後の天皇制構想
 はじめに
 第一節 民主主義論と天皇論の矛盾
 第二節 キリスト教的世界観と天皇制
 おわりに

第5章 戦争責任論と象徴天皇制
 はじめに
 第一節 敗戦直後における戦争責任論と天皇制
 第二節 象徴天皇制の模索――占領中期から後期
 第三節 象徴天皇制の確立――一九五〇年代以降
 おわりに

終 章  「元首」と「象徴」のはざま
あとがき
索引


 【書評・紹介】
●『北海道新聞』(2018年5月20日)、評者:竹内正浩氏・文筆家
●『信濃毎日新聞』(2018年4月18日)【その他、各地方紙に掲載。共同通信配信】
「……今、目の前にある象徴天皇制は、いったいどのような経緯でできがあったのだろう―。素朴な問いに応える、気鋭の学徒の業績である。」(先崎彰容氏・日本大学教授)
 ●『信濃毎日新聞』(2019年1月6日)
●『歴史学研究』(2019年5月号)
●『しんぶん赤旗』(2018年7月15日号)、評者:吉田裕氏・一橋大学大学院特任教授
●『東京人』(2018年7月号)、評者:苅部直氏・政治学者、東京大学教授