近現代日本の都市形成と「デモクラシー」――20世紀前期/八王子市から考える
中村元 著
ISBN:978-4-905497-58-5、A5判上製、370頁、本体価格4,200円、2018年刊
都市における「デモクラシーと地域」のあり方を再考する。
都市史研究、デモクラシー研究の新地平。
【著者】中村 元(なかむら・もと)
新潟大学人文学部准教授。1977年東京都八王子市生まれ。1999年東京都立大学人文学部史学科卒業。2009年東京都立大学大学院人文科学研究科博士課程単位取得退学、博士(史学)。
八王子市総合政策部市史編さん室専門員、獨協大学法学部特任助手を経て現職。
著書・論文に、『東京の制度地層』(公人社、2015年、共著)、「1930・40年代日本の露店商業界紙『関西俠商新聞』・『小商人』・『日本商人』について」(『資料学研究』12号、2015年)、「戦災の記憶の継承と歴史資料――長岡空襲の事例に即して」(『災害・復興と資料』8号、2016年)など。
【目次】
序 章 日本近現代史研究における都市史研究とデモクラシー研究の交点
――問題の所在と本書の視角
第一節 日本近代史研究における都市史研究の文脈と問題の所在
第二節 日本近現代史研究におけるデモクラシー研究の文脈と問題の所在
第三節 本書の視角と課題
第四節 本書の方法と構成
第一章 男子普通選挙制導入期の大都市近郊都市――東京府八王子市の状況
第一節 男子普通選挙制導入期の東京府八王子市――分析地概況
第二節 男子普通選挙制導入と八王子市
第二章 昭和恐慌期における都市計画事業の展開と「無産」政治勢力
第一節 恐慌下の都市計画事業と「無産」政治勢力
第二節 都市計画失業事業の進展と「無産」政治勢力をめぐる変動
第三章「土木稼業人」の労働史――二〇世紀前期における仲木屋鉱一の軌跡
第一節 「土工の子」として
第二節 「少年土工」から「失業登録者」へ
第三節 「失業登録者」―「自由労働者」として
第四節「土木稼業人」へ
第四章 一九三〇年代大都市近郊における都市地域社会と「無産」政治勢力
―――屠場市営化・移転問題の展開を手がかりに
第一節 屠場市営化・移転問題の浮上
第二節 屠場市営化・移転問題の展開(1)
――子安町住民の屠場設置反対運動を中心に
第三節 屠場市営化・移転問題の展開(2)――「無産」政治勢力の動向を中心に
第五章 一九三〇・四〇年代大都市近郊都市論の前提
――二〇世紀前期日本の「田園都市」・「地方計画」・「衛星都市」
第一節 都市計画法制定期における大都市の膨張をめぐる問題と「田園都市」
第二節 一九二〇年代日本における「地方計画」論の導入とその意味
第三節 内務官僚飯沼一省における「地方計画」論とその射程
第六章 一九三〇・四〇年代大都市近郊都市の変容と新体制をめぐる対抗
第一節 日中戦争前後の大都市近郊都市とその変容
第二節 新体制をめぐる対抗とその帰結
第七章 翼賛選挙期大都市近郊都市における地域政治構造の変容
第一節 翼賛選挙と地域政治―一九四二年四月の衆議院議員選挙をめぐって
第二節 翼賛選挙と地域政治構造の変容―一九四二年六月翼賛市会選挙
第八章 戦前日本における「デモクラシー」の基底
――新体制運動期における「革新分子」神谷卓・小島鉄広に即して
第一節 「針灸医」神谷卓の論理と行動
第二節 露店商小島鉄広の論理と行動
終 章 近現代日本の都市形成と「デモクラシー」――本書のまとめ
あとがき
索引
【書評・紹介】
●『歴史学研究』(2020年7月号)、評者:高嶋修一氏
●『日本歴史』(2019年6月号)、評者:町田祐一氏・日本大学
●『史学雑誌』第128第4号(2019年4月)、評者:加瀬和俊氏