公正から問う近代日本史

佐藤健太郎/荻山正浩/山口道弘 編著
ISBN:978-4-905497-74‐5、四六判上製、570頁、本体価格:4,800円、2019年刊

「経済と制度」「政治と外交」「地域と民衆」「思想と学説」の4部に、計11本の論考を所収。気鋭の研究者による「公正」研究の新地平。


【編者】
佐藤健太郎(さとう・けんたろう)
千葉大学大学院社会科学研究院准教授。1976年生まれ。東京大学大学院法学政治学研究科博士課程修了、博士(法学)
〈主要業績〉『「平等」理念と政治――大正・昭和戦前期の税制改正と地域主義』(吉田書店、2014年)
「大正期の東北振興運動――東北振興会と『東北日本』主幹浅野源吾」(『国家学会雑誌』第118巻第3・4号、2005年)
 
荻山正浩(おぎやま・まさひろ)
千葉大学大学院社会科学研究院教授。1969年生まれ。東京大学大学院経済学研究科博士課程修了、博士(経済学)
〈主要業績〉 「農業生産の発展と労働供給――20世紀初頭大阪府泉南地方における織物業の生産動向との関連を中心に」(『社会経済史学』第77巻第4号、2012年)
「後発の利益と農業生産の発展――戦前日本における府県別農業生産力の変化と農家の家計所得(1891~1929年)」(『千葉大学経済研究』第30巻第3号、2015年)
 
山口道弘(やまぐち・みちひろ)
千葉大学大学院社会科学研究院准教授。 1979年生まれ。東京大学大学院法学政治学研究科博士課程修了、博士(法学)
〈主要業績〉「南北朝正閏論争と神皇正統記――漢文脈から文明史へ」(『藝林』第65巻第1号、2016年)
「制度としての傍輩――『吾妻鏡』頼朝挙兵記事に於ける佐々木氏伝承を中心に」(『千葉大学法学論集』第31巻第3・4号、2017年)
 
【執筆者】

  • 青木健 (あおき・たけし) 慶應義塾大学経済学部非常勤講師
  • 若月剛史(わかつき・つよし) 関西大学法学部准教授
  • 佐々木雄一(ささき・ゆういち) 首都大学東京法学部助教
  • 池田真歩(いけだ・まほ) 日本学術振興会特別研究員
  • 中西啓太(なかにし・けいた) 愛知県立大学日本文化学部准教授
  • 藤野裕子(ふじの・ゆうこ) 東京女子大学現代教養学部准教授
  • 尾原宏之(おはら・ひろゆき) 甲南大学法学部准教授
  • 冨江直子(とみえ・なおこ) 茨城大学人文社会科学部准教授

 【目次】 
序(山口道弘)

第Ⅰ部 経済と制度
第1章 近代日本の国有林野経営の展開と私権的利用の意義 ――秋田営林局管内の町村を事例にして【青木健】
第2章 公正な自然資源の開発と戦前日本の工業化 ――河川の電源開発の事例を中心に 【荻山正浩】

第Ⅱ部 政治と外交
第3章 昭和戦前期の官僚人事システムにおける「公正」 ――内務省土木系技術官僚を中心に 【若月剛史】
第4章 近代日本外交における公正 ――第一次世界大戦前後の転換を中心に【佐々木雄一】
第5章 佐々木惣一の公民教育論と教科書 ――国際連盟脱退と書き換えられた教科書【佐藤健太郎】

第Ⅲ部 地域と民衆
第6章 「医は仁術」のゆくえ ――一九世紀東京の医師と施療 【池田真歩】
第7章 明治期における監獄の経済史的位置づけ ――監獄作業の実態と公正性をめぐる諸問題【中西啓太】
第8章 裁判記録にみる一九三二年矢作事件 ――包括的再検証にむけた基礎的考察【藤野裕子】

第Ⅳ部 思想と学説
第9章 福澤諭吉の徴兵論・再考 【尾原宏之】
第10章 穂積八束と岡村司 ――自由の重さの耐え難さ【冨江直子】
第11章 私有と自主立法権(Autonomie)――法制史家中田薫の学問形成 【山口道弘】


【書評・紹介】
●『朝日新聞』(2019年6月22日)、評者:石川健治氏・東京大学教授、憲法学者
●『読売新聞』(2019年4月27日夕刊)
●『史學雑誌』第129編 第7号(2020年7月)、評者:苅部直氏
●『歴史と経済』第248号(2020年7月)、評者:満薗勇氏・北海道大学