ある少年H――わが「失われた時を求めて」

石崎晴己 著
ISBN:978-4-905497-75‐2、四六判上製、276頁、本体価格:1,800円、2019年刊

「ほんとうの少年Hがここにいる。詩情に満ちた戦後東京の原風景…」
(福岡伸一氏(『生物と無生物のあいだ』『動的平衡』著者)絶賛!
サルトルやE・トッドの研究で知られるフランス文学者が、昭和の子供時代をありのままに語る自伝的エッセイ。


著者】石崎晴己(いしざき・はるみ)
フランス文学者、青山学院大学名誉教授。1940年生まれ。
早稲田大学文学部仏文科卒、同大学院博士課程単位取得満期退学。ナンシー大学博士課程に留学ののち、立正女子大学(現、文教大学)助教授、青山学院大学文学部教授、同学部長、青山学院大学総合文化政策学部教授、同学部長等を歴任。ジャン=ポール・サルトルを専門とする。ブルデューやエマニュエル・トッドの翻訳書も数多く刊行している。


 【目次】 
仁古田再訪―― わが A la Recherche du temps perdu(失われた時を求めて)

善光寺から上田へ/二時間ものサスペンスドラマのように/紙芝居と絵物語/闇米取り締まりと車内歌謡会/米軍による機銃掃射……ほか

一 ある少年H

心優しき(?)GIたち/労働争議と「川上音二郎の衣装屋」/父親の位牌に灰を……/ドラマ『あ・うん』の父親/「こんな助兵ったらしいものを……」/Hの友人たちを車座に坐らせて……ほか

二 父親のこと

父の帰還、土産の金平糖/父は内地にいた!?/アメリカ映画、特に西部劇/映画好きという遺産/サルトルの映画好き/小津安二郎、とくに「麦秋」/「叱らない」父親……ほか

三 「性に目覚める頃」

「健全なる男女交際」/『ヰタ・セクスアリス』/『仮面の告白』と環(たまき)ちゃんのスカート/女性性器への適正な関心/おまけを抜いたあとのグリコ/生涯最初の強烈な性的刺激体験/ゲーリー・クーパーの『征服されざる人々』……ほか

四 才能ある(?)少年

学校的規律の情景/イタリアの小学校、そしてイタリアの「終戦」/終戦直後の通信簿/読み書きの習得/「あんた、芸人だねエ」/「お笑い」という芸能ジャンル/パラレル・ライフ? 万能細胞?……ほか

五 テレビ少年第一世代

『居酒屋』と「ジェルヴェーズの歌」/生まれる前からテレビがあった人間とそうでない人間/「テレビ観せてくれない?」/「ホントは無いんじゃないの?」/横綱吉葉山、関脇若乃花/『華氏四五一』……ほか


【書評・紹介】
●『読売新聞』(2019年7月21日)
●『キネマ旬報』(2019年9月下旬特別号)川本三郎氏のコラム「映画を見ればわかること」内で紹介
●『ふらんす』(2019年8月号)、評者:福田裕大氏・近畿大学准教授
●『週刊読書人』(2019年7月12日号)、評者:立花英裕氏・フランス文学者