権力と音楽――アメリカ占領軍政府とドイツ音楽の「復興」
芝崎祐典 著
ISBN:978-4-905497-77-6、四六判上製、320頁、本体価格:2,800円、2019年刊
ドイツの「音楽の戦後処理」とはなんであったのか:芸術と政治の一断面
【著者】芝崎祐典(しばざき・ゆうすけ)
1970年生まれ。東京大学文学部卒業、早稲田大学政治学研究科修士課程修了、東京大学総合文化研究科博士課程修了、博士(学術)。
筑波大学准教授などを経て、中央大学法学部、成城大学文芸学部など、非常勤講師。
専門は、国際関係史、文化研究、政治と芸術。
【目次】
はじめに
第1章 瓦礫と音楽――崩壊の中からの再生
第1節 瓦礫の中からの文化的再生
第2節 「二〇世紀」という瓦礫の再構築――ボリス・ブラッハー
第3節 精神的廃墟の中からの再生――カール・アマデウス・ハルトマン
第4節 リヒャルト・シュトラウスとアメリカ占領軍政府の二面的関係
第5節 現実逃避と過去の記念碑建立――リヒャルト・シュトラウス
第2章 音楽の監視――アメリカのドイツ占領とドイツ音楽
第1節 音楽の非ナチ化、音楽を通じた非ナチ化
第2節 占領軍政府による音楽への介入
第3節 ベルリンにおける米ソによる音楽環境「正常化」策の展開
第4節 音楽における非ナチ化政策の曖昧さ
第5節 アメリカ音楽導入の模索
第6節 非ナチ化、「アメリカ」の売り込み、音楽芸術の価値、冷戦――四つの要素の複合体としてのアメリカの音楽政策
第3章 音楽におけるアメリカとドイツの対面――アメリカ占領当局による「アメリカ音楽の売り込み」とドイツ再教育
第1節 メニューインのドイツ訪問
第2節 「音楽家訪問プログラム」
第3節 「音楽家訪問プログラム」の限界
第4節 冷戦と音楽文化復興のための諸策
第4章 音楽の非ナチ化 −− ベルリンフィルハーモニー管弦楽団の復興
第1節 ベルリンフィルハーモニーの来歴
第2節 ドイツ降伏直後のベルリンフィルハーモニー
第3節 ベルリンフィルハーモニーの非ナチ化
第4節 音楽の非ナチ化と音楽担当官の権力
第5節 フルトヴェングラー問題
第6節 作品の非ナチ化――「退廃音楽」の再導入
第5章 ラジオ放送を通じた音楽の非ナチ化
第1節 ドイツ占領の中のラジオ放送
第2節 アメリカ軍占領地区放送局(RIAS)
第3節 音楽の再ナチ化?
第4節 ベルリン封鎖とRIAS
おわりに
【書評・紹介】
●『毎日新聞』(2019年10月20日)、著者インタビュー掲載
●『産経新聞』(2019年7月28日)、評者:岩田温氏・大和大学専任講師
●『現代史研究』第66号(2020年12月)、評者:山根徹也氏
●『西洋史学』(2020年12月)、評者:岡田暁生氏(京都大学)
●『レコード芸術』(2019年12月号)、評者:山崎浩太郎氏
●『音楽の友』(2019年11月号)、評者:小沼純一氏
●『図書新聞』 (2019年10月26日)、評者:穴山朝子氏
●『週刊読書人』(2019年10月11日号)、評者:小宮正安氏・横浜国立大学教授
●『MOSTLY CLASSIC』(2019年11月号)、評者:西原稔氏・桐朋学園大学教授
●共同通信社配信 (2019年9月8日)、評者:吹原紗矢佳氏・フリーライター