興亡――電力をめぐる政治と経済
大谷健 著
ISBN:978-4-905497-96-7、四六判並製、295頁、本体価格2,400円、2021年刊
待望の復刊! 朝日新聞記者が電力と政治をめぐる攻防を丹念に描いた名著。
1939(昭和14)年から1951(昭和26)年まで国営化されていた電力産業。民営から国家管理に移行したのはなぜか、電力国管は成功したのか、戦後、なぜ民営・分割されねばならなかったのか、九電力体制はいかに確立されたのか――。
〝電力の鬼〟松永安左エ門とは何者か。
1978年初版(産業能率大学出版部)、1984年第2版(白桃書房)刊行の単行本を装いを新たに、掲載写真を一新し人名索引を付して復刊。ダイナミックな筆致が、今よみがえる。
巻末に、御厨貴「大谷健さんと私――20年の清談を振り返って」を収録。
【著者】大谷 健(おおたに・けん)
1930年大阪市生まれ。大阪商科大学(現大阪市立大学)卒。
1952年朝日新聞社入社。東京本社、名古屋本社各経済部次長を経て、東京本社編集委員(経済問題担当)。1987年度日本記者クラブ賞受賞。1990年定年退社後も執筆活動を続けた。2014年9月逝去。
著書に、『国鉄は生き残れるか』(産業能率大学出版部)、『戦後財界人列伝』(産業能率大学出版部)、『緑の経済学』(潮出版社)、『久山町長の実験』『起業家精神の研究』『問題記事』(いずれも草思社)、『国鉄民営化は成功したか』『平成デフレ』(いずれも朝日新聞社)、『定年族の時間割』(主婦の友社)など。
【目 次】
第Ⅰ部 電力国家管理への道
第1章 革新のイデオロギー
長崎事件/二つの潮流/日本経済の再編成
第2章 押し寄せる波
自由競争/孤立無援/国営論の形成
第3章 攻防
近衛と永井/衆議院と貴族院
第Ⅱ部 電力国家管理の実態
第1章 統制は統制を生む
晴天の出発/最初の挫折/最後の抵抗/惜別
第2章 雪と炎
戦時経済体制/戦争下の日発/生きざまを見よ
第3章 敗戦
過剰と不足/石炭と電力/輝ける電産/米占領軍
第Ⅲ部 電気事業再編成
第1章 三つの道
社会化案/日発対配電/議して決せず/余人なし
第2章 紛糾
松永復活/四対一/政府案決定/ナショナリズム
第3章 強権
審議未了/ポツダム政令/故郷忘じ難く
第4章 激突
公益事業委員会/小坂対松永/日発解体/新井章治の死
第Ⅳ部 九電力体制の確立
第1章 追撃
三%と八%/世論に抗す/電産の崩壊
第2章 後退と前進
公益委廃止/電源開発会社/東電と関電/黒部の闘い
第3章 歴史の教訓
ある比較/批判的展望
第4章 よみがえる松永イズム
行革と電力/地方分権/新しき潮流
書きもらしたことなど
ひとびと/ところどころ/ほん
関連年表
巻末エセー 「大谷健さんと私――20年の清談を振り返って」(御厨貴)