創宇社建築会の時代――戦前期都市文化のゆくえ

佐藤美弥 著
ISBN:978-4-910590-10-3、A5判上製、360頁、本体価格:4,900円、2023年3月刊


百年前の東京に出現したノンエリート建築家集団‟創宇社”
関東大震災後の都市に生きた若き表現者たちの意識と行動を丹念に跡づける。


【著者】
佐藤 美弥(さとう・よしひろ)
名古屋市立大学大学院人間文化研究科准教授1979年、秋田県生まれ。2002年、早稲田大学第一文学部史学科卒業。2010年、一橋大学大学院社会学研究科博士後期課程修了。博士(社会学)。一橋大学大学院社会学研究科特任講師(ジュニアフェロー)、埼玉県立歴史と民俗の博物館学芸員、埼玉県立文書館学芸員、埼玉県立歴史と民俗の博物館主任学芸員を経て、現職。
論文に、「創造・構成・実践――山口文象と創宇社建築会の意識について」(田路貴浩編『分離派建築会――日本のモダニズム建築誕生』京都大学学術出版会、2020年)、「都市計画反対運動と住民・政党・政治家――槇町線問題の再検討を中心に」(安在邦夫・真辺将之・荒船俊太郎編『近代日本の政党と社会』日本経済評論社、2009年)、「ある「シベリア抑留」のライフストーリー――自分史のなかの戦争の記憶」(三谷孝編『戦争と民衆――戦争体験を問い直す』旬報社、2008年)など。担当展覧会に、企画展「埼玉の自由民権」(埼玉県立歴史と民俗の博物館、2015年)など。


【目次】 
序章 戦前期都市文化研究の対象としての創宇社建築会
 一 日本近現代史研究における都市文化
 二 創宇社建築会研究のこれまで
 三 当事者の声
 四 本書の構成及び使用した資料
 五 創宇社建築会の時代
 
第Ⅰ章 創宇社建築会の萌芽――都市で成長する若き建築家たち
 一 創宇社建築会を結成した同人たち
 二 中間技術者集団としての創宇社建築会
 三 創宇社建築会同人にとっての労働としての建築
 
第Ⅱ章 第一次世界大戦・関東大震災と創宇社建築会の結成 一九二三
 一 創宇社建築会の結成
 二 「心」の建築――第一次世界大戦から関東大震災にかけての建築論
 三 記憶された先駆者――分離派建築会
 四 忘却された先駆者――ミネルヴァ・ソサエティ
 五 「帝都復興」と建築家たち
 
第Ⅲ章 創宇社建築会の展開 一九二三-一九三〇
 一 「原始」への遡行――「我等は古代人の純情なる創造の心を熱愛し」 一九二三
 二 帝都復興創案展覧会と創宇社建築会 一九二四
 三 アヴァンギャルドと創宇社建築会 一九二五-一九二七
 四 新しい建築とマルクス主義 一九二八-一九二九
 五 建築観の転換――創造から実践へ 一九三〇
 
第Ⅳ章 創宇社建築会同人たちの伏流 一九三一-一九四五
 一 官吏減俸反対運動における逓信省の建築家たち 一九三一
 二 建築科学研究会から青年建築家クラブへ ――模索と挫折 一九三二-一九三五
 三 建築から政治活動へ――梅田穣と今泉善一の場合 一九三二
 四 戦時の思索――竹村新太郎の場合 一九三五-一九四五
 五 創宇社建築会同人たちの敗戦 一九四五
 
第Ⅴ章 戦後における「建築運動」と創宇社建築会同人たち 一九四五-
 一 戦災都市と住宅不足に直面して――戦後「建築運動」の復活
 二 新日本建築家集団(NAU)の結成と活動
 三 NAUの後に続くもの――一九五〇年代以降の建築家グループ
 四 創宇社建築会同人と戦後建築
 
終章 戦前期都市文化のゆくえ
 一 創宇社建築会とはなんであったのか
 二 「再発見」される創宇社建築会の時代


【書評・紹介】
『歴史評論』893号(2024年9月号)、評者:上田誠二氏
●『人間文化研究所年報』(名古屋市立大学人間文化研究所)第19号(2024年3月)、評者:雨宮史樹氏(早稲田大学歴史館東伏見アーカイブズ)
『建築史学』第82号(2024年3月)、評者:本橋仁氏(金沢21世紀美術館)
●『都市問題』(2023年9月号)、評者:初田香成氏(工学院大学建築学部准教授)
●『図書新聞』(2023年8月12日号)、評者:田所辰之助氏(日本大学理工学部建築学科教授)