ドイツ「緑の党」史――価値保守主義・左派オルタナティブ・協同主義的市民社会
中田 潤 著
ISBN:978-4-910590-12-7、A5判上製、480頁、本体価格:5,200円、2023年9月11日刊行
「新しい社会運動」はいかにして「緑の党」へと転化していったのか。各史資料やインタビューを基に、1970年代からドイツ再統一期までの歴史を丹念に描く。〝緑〟の勢力の結集、連邦政党の成立、躍進、党内対立、混迷、解党的再編…。
【著者】
中田 潤(なかた・じゅん)
茨城大学人文社会科学部教授
1965年秋田県生まれ。
東京学芸大学教育学部卒業、東京学芸大学大学院教育学研究科(ヨーロッパ史専攻)修士課程修了、立教大学大学院文学研究科史学専攻博士課程後期課程単位取得退学。ドイツ学術交流会(DAAD)奨学生として留学し,2000年ハンブルク大学にて博士号(Ph.D 歴史学)取得。ハンブルク・ヘルムート=シュミット大学客員研究員(2007/08年および2017/18年)。
専攻はドイツ現代史。
【目次】
序章
はじめに
一 彼らは何を変えたかったのか――本書の問題関心
二 研究状況
三 史料状況
四 本書の構成
第Ⅰ部 市民運動から連邦政党へ
第1章 前身としての環境保護市民運動――ニーダーザクセン州における原子力関連施設建設反対運動
はじめに
一 新しい市民運動の特徴
二 ニーダーザクセン州南部における反原発市民運動
三 ニーダーザクセン州北東部における反原発市民運動
おわりに――中間貯蔵施設完成後の市民運動
第2章 「緑のリスト・環境保護」の成立――環境保護市民運動からエコロジー政党へ
はじめに
一 「ニーダーザクセン環境保護党」の成立
二 競合勢力の出現
三 「ニーダーザクセン環境保護党」と「緑のリスト・環境保護」の合同
四 市民運動組織や既成政党との関係
五 ニーダーザクセン州議会選挙
おわりに
第3章 抗議政党から綱領政党への転換
はじめに
一 ペニッヒビュッテル党大会
二 党内路線対立の始まり――左派オルタナティブとの関係
三 「緑の行動・未来」の結成
四 「緑のリスト・ヘッセン」とヘッセン州議会選挙
五 「緑のリスト・環境保護」リーベナウ党大会
おわりに――ベダーマンのその後
第4章 緑の勢力の結集
はじめに
一 ヨーロッパ議会選挙
二 「緑のリスト・環境保護」オルデンブルク党大会
三 「その他の政治団体 緑の人々(緑の党)」の結成
四 「その他の政治団体 緑の人々(緑の党)」の綱領
五 「その他の政治団体 緑の人々(緑の党)」の選挙活動とその結果
おわりに
第5章 連邦政党緑の党の成立
はじめに
一 方針の転換――緑の運動か、左派オルタナティブ運動か
二 「その他の政治団体 緑の人々(緑の党)」最後の党大会
三 連邦政党緑の党の結党大会
四 緑の党第二回党大会
五 緑の党第三回党大会
おわりに
第Ⅱ部 社会構成と地域的広がり
第6章 左派オルタナティブと各州での緑の運動
はじめに
一 左派オルタナティブの内実
二 各州での緑の運動
おわりに
第7章 緑の党の社会構成
はじめに
一 党員の属性
二 社会的な関係性
三 ヴォーンゲマインシャフト
おわりに
第Ⅲ部 混迷の時期
第8章 党内対立解消の試み――「左派フォーラム」と「出発派」
はじめに
一 地方議員の反乱
二 党内対立の激化
三 党内潮流再編の動き
四 「出発派」の登場
五 「左派フォーラム」の成立
六 ドイツ統一前夜の党内の勢力配置とその思想的背景
おわりに
第9章 「原理派」の影響力喪失とベルリンの壁崩壊
はじめに
一 原理派の影響力の後退
二 新たなアイデンティティの模索
三 ドイツ再統一をめぐる議論と緑の党
四 離党者の続出
おわりに――連邦議会選挙での壊滅的敗北
結びにかえて――緑の党の現在
注
参考文献
索引
【書評・紹介】
●『読書アンケート2023 識者が選んだ、この一年の本』(みすず書房)で紹介、評者:板橋拓己氏
●『図書新聞』(2024年2月3日号)、評者:小野一氏(工学院大学教授)
●『経済』2023年12月号
●『週刊読書人』(2023年12月8日号)、評者:井関正久氏(中央大学教授)