私はさよならを言わなかった――ホロコーストの子供たちは語る 

クロディーヌ・ヴェグ 著 矢野卓 訳
ISBN:978-4-910590-17-2、四六判並製、272頁、本体2,700円、2023年11月刊


「本当に一度だけでいいから、母が作ってくれたお菓子を食べてみたい。クルミが入ったハンガリーのお菓子を……」
両親にさよならを言えなかったユダヤ人孤児たちの証言集。フランスで長く読み継がれる17の物語。


【著者】クロディーヌ・ヴェグ(Claudine Vegh
出生地と生年月日は未詳。児童精神医学者。
1930年代前半、東欧系ユダヤ人としてフランスで生まれる。1940年から始まったドイツ軍占領中、フランス南西部サン=ジロンで里親にかくまわれている時に、迫害によって父親を失う。精神医学の学位取得のために執筆した学位論文の一部を『私はさよならを言わなかった』(Je ne lui ai pas dit au revoir)と改題し、1979年にガリマール社から刊行する。ユダヤ人被収容者の子供たちとの対談を収めたこの著作は、第二次世界大戦中のフランスで、反ユダヤ主義の迫害を被り、孤児となった子供たちの証言集として読み継がれており、現在までに英語、ドイツ語、イタリア語に翻訳されている。著者はこの著作を除いて、際立った著述活動を行っていない。
 
【訳者】矢野卓(やの・たく)
1975年千葉県出身。トゥールーズ=ル=ミライユ大学(現ジャン・ジョレス大学)文学部第二課程修了、ナント大学文学部第三課程修了。博士(文学)。
専攻は比較文学とフランス20世紀文学、国語教育。フランス語通訳として、2012年からモーリタニア・イスラム共和国に赴任した。
訳書に『社会主義リアリズム』(白水社・2018年)、論文に「国語・文学教育のこれから:教室からの返信」(『日本文学』2021年9月号)がある。


【書評・紹介】
『北海道新聞』(2024年2月4日)、評者:駿河昌樹氏(國學院大學講師)
●『週刊読書人』(2024年2月9日号)、評者:安川晴基氏(名古屋大学人文学研究科准教授)

●『しんぶん赤旗』(2024年1月14日号)で紹介