自律と自立のまちづくり――元山口県柳井市長 河内山哲朗回顧録

河内山哲朗著、小宮一夫・新嶋聡編
ISBN:978-4-910590-19-6、四六判並製、総340頁、本体2,700円、2024年2月刊


 
1993年、当時「全国最年少」34歳で山口県柳井市長に就任し、以後、4期16年にわたって市政を導いた著者が、前半生を大いに語り下ろす。
早大雄弁会、松下政経塾(第2期生)での経験、最年少市長の重圧、「経営感覚のある行政」の実践、地方自治への熱い思い…


【著者】
河内山 哲朗(こうちやま・てつろう)
1958年生まれ。1981年、早稲田大学法学部卒業。1986年、松下政経塾卒塾(第2期生)。1993年、山口県柳井市長に就任。以後、2009年に退任するまで4期務める。
編者】
小宮 一夫(こみや・かずお)
文部科学省教科書調査官。駒澤大学大学院人文科学研究科・専修大学法学部非常勤講師。1967年三重県生まれ。中央大学大学院文学研究科博士後期課程修了。博士(史学)。著書に『条約改正と国内政治』(吉川弘文館、2001年)など。

新嶋 聡(にいじま・さとし)

中央大学杉並高等学校専任教諭、立教大学社会福祉研究所特任研究員。1981年群馬県生まれ。立教大学大学院法学研究科法学政治学専攻博士課程後期課程単位取得退学。修士(政治学)。


【目次】
第1章 松下政経塾以前
生い立ち/岸家との関係/高村家との関係/佐藤家との関係/岸信介先生の思い出/佐藤栄作先生の思い出/佐藤内閣を振り返って/田中内閣を振り返って/広島大学教育学部附属高等学校への進学/「中庸」な態度/広島東洋カープ/「郷土ナショナリズム」/ロッキード事件/早稲田大学への進学/学生運動の残り香に触れて/早稲田古書店街/早稲田大学雄弁会/新自由クラブの限界/無党派層の増加/革新自治体の可能性と限界/「グループ1984年」
 
第2章 松下政経塾時代
松下政経塾を知る/松下村塾との違い/選考試験/松下幸之助塾長との面接/合格通知/入塾式/同期の横顔/一期生の印象/寮生活/松下幸之助塾長を知る/製造実習、販売実習/オートノミー研究会/徳田虎雄氏の来訪/「動物園」と称された第二期生/小野晋也氏の初出馬/白川勝彦氏の影響/塾生への三つの支持層/「世代代表」/野田佳彦氏の初出馬/逢沢一郎氏の初出馬/一〇〇キロメートル行軍/円覚寺研修/政経塾の一日とカリキュラム/茶道研修/松下幸之助塾長との対話/マネジメントの重要性/禅寺の坊さん?/家族の憂慮/雄弁会の友人との付き合い/三期生との出会い/ふるさとの現状/地方での行革/地域の活性化/世代間格差/地域資源の活用/研修成果審査会/四期生、五期生の思い出/情報通信技術の変化/一期生の卒塾/「卒塾フォーラム」/一九八七年の転機/八期生との出会い/学者との関わり/松下政経塾の職員として/松下政経塾の転機/「八六年体制」/国鉄改革/売上税問題/「安竹宮」/リクルート事件と一般消費税/昭和から平成へ/「ふるさと創生」/生涯の伴侶を迎えて
 
第3章 市長時代――第一期
柳井市長選への立候補/周囲の反応/メディアとの関係/「政は正なり」、「言うな 聞くまい 人の悪口」/「手弁当、手油、手電話」/最年少市長の誕生/宮地定雄市議会議長との出会い/「柳井のクリントン」/行政のもつ三大課題/地域「再」活性化/「まちづかい」と観光/情報公開と情報教育/初登庁――「経営感覚ある行政」/議会運営/交流人口の時代のまちづくり/役所の中では間違い探し、まちに出たら宝探し/資産に関する条例/若手職員との懇談会/ふるさとCMコンテスト/新政策の難しさ/お中元・お歳暮・会食/一九九三年に当選した安倍晋三氏/松下政経塾の一九九三年/一九九三年の「地方分権の推進に関する決議」/市長と市民の対話/助役人事、議会対策/市長と助役の組み合わせ/大卒職員の増加/温暖多日照の気候/六次産業化の萌芽/水産資源の活用/「交通まちづくり」/渇水対策/地方財政措置制度と「ビールよりも高い水道料金」/「不惑」を迎えた柳井市/スウェーデンの事例紹介/子ども市議会の開催/熊本県の小国町・山形県の西川町への注目/柳井市行政改革推進本部の設置/柳井金魚ちょうちん祭り/都市における商店街/「三割自治」への見解/「地方政府」の役割/全国市長会/一九九四年の柳井市議会議員選挙/一九九五年の統一地方選挙/「政界再編」と柳井市/「オルタナティブ」としての松下政経塾/阪神・淡路大震災/地下鉄サリン事件
 
第4章 市長時代――第二期
内発的なまちづくり/「START21」/「やない21世紀プラン(第三次柳井市総合計画)」/世代と職員採用試験の変化/山東省への訪問/文化行政/「いきいきまちづかいプラン」/地方分権一括法/第二次民主党/日本版ビックバンと柳井市/国会改革の影響/議会の土日開催/橋本行革への評価/成熟社会への対応/「新世紀に対応する八つの戦略」/税金使用時の三つのコスト/外形標準課税/介護保険制度と市長会での論点/都道府県と市町村との関係/「措置から契約へ」の含意/現金給付をめぐる議論/ゴールドプランと老人保健福祉計画/柳井地域広域水道用水供給事業の開始
 
第5章 市長時代――第三期
八年ぶりの選挙戦/無党派層の台頭/ゆとり教育とふるさと教育/「IT革命」/芸予地震への対応/山口きらら博/別府・広島・呉間の定期航路の就航/地域通貨「やない」の導入/平郡島と離島対策/松下政経塾二〇年/小泉純一郎内閣と地方政治/「三位一体改革」と生活保護/ノーマライゼーションと「幸齢社会」の実現/「平成の大合併」
 
第6章 市長時代――第四期
「新」柳井市/道州制ビジョン懇談会/上田助役と「新」柳井市政/「柳井市をきれいにする条例」/「医療崩壊」への対応/二一世紀初頭の中央地方関係/「せんたく」/審議会と意思決定
 
第7章 市長退任――社会保障政策への提言
不出馬の決断/後任の選出過程/民主党への「政権交代」/野田佳彦総理の誕生/民主党政権への評価/「地方消滅」時代の地方自治/市長退任後の生活/国民健康保険中央会の顧問、社会保険診療報酬支払基金理事長に就任/前半生を振り返って
河内山哲朗関連年譜
関連地図
解題(小宮一夫・新嶋聡)
主要人名索引


【書評・紹介】
●『週刊エコノミスト』2024年3月26日号
●『都市問題』115号、2024年4月