フランスという国家――繰り返される脱構築と再創造——

ジャック・シュヴァリエ 著、藤森俊輔 訳
ISBN:978-4-910590-24-0、四六判並製、144頁、本体:2,000円、2024年10月刊行


“国家”はもはや時代遅れなのか 
 
福祉国家の危機、欧州統合やグローバリゼーションの進展、新自由主義の台頭、急進的なイスラム主義とテロ、黄色いベスト運動……、そして、新型コロナ危機。
——フランス社会を取り巻く変化に直面し国家はいかに適応してきたのか。
フランス行政学の第一人者が、フランス国家の歴史的な成り立ちと変遷を丹念に振り返り、新型コロナ危機が伝統的な国家モデルの復権をもたらしたと分析する。


【著者】
ジャック・シュヴァリエ(Jacques CHEVALLIER)
パリ第2大学名誉教授
1943年生まれ。専門は行政学、国家論。パリ大学法学部にて公法学の博士号を取得後、ナンシー大学教授、アミアン大学教授を経て、パリ第2大学教授として長年教鞭を執り、同大学の大学院法学政治学研究科長、公法学・政治学部門長、行政学・政治学研究所(CERSA)所長などを務めた。学外においても、政府の審議会委員や試験委員の経歴多数。
主な著書に、『国家(L’État)』(Dalloz, 2011)、『ポストモダン国家(L’État post-moderne)』(LGDJ, 6ème éd., 2023)、『法治国家(L’État de droit)』(LGDJ, 7ème éd., 2023)、『行政学(Science administrative)』(PUF, 6ème éd., 2019)、『公共サービス(Le service public)』(PUF, 12ème éd., 2022)などがある。

【訳者】

藤森 俊輔(ふじもり・しゅんすけ)
1978年生まれ。東京大学法学部卒業。内閣府入府後、在外研究員としてフランスに派遣され、フランス国立行政学院(ENA)修了、パリ第2大学大学院修士課程修了(法学修士、行政・公共政策専攻)。
内閣官房、内閣府、外務省での勤務、在モロッコ日本国大使館一等書記官、宮内庁皇嗣職宮務官を経て、現在、内閣府政策統括官(共生・共助担当)付参事官。


【目次】
日本語版への序文
序 章
第一章   フランス型国家モデル
 1 基盤
 2 特異性
 
第二章   国家モデルの不安定化
 1 脱神聖化
 2 通俗化
 3 再構成
 
第三章 国家モデルの再評価
 1 主権の再興
 2 福祉国家の復活
 3 国家機構の適応
 
第四章   国家モデルの再設計
 1 主権に関する難題
 2 安全に関する難題
 3 市民に関する難題
 4 デジタル化に関する難題
 
補 章 新たな経済介入主義へ
 1 経済的愛国主義の興隆
 2 経済的愛国主義の両義性
 3 経済的愛国主義に関する難題
結 語
訳者あとがき